ストレスチェック制度は、検査後に「集団分析と職場環境改善」を行うよう、会社に対して求めています(今のところ努力義務です)。
集団分析はしたものの、職場環境改善をどのように進めたらよいのか分からないという声をたくさんいただきます。
そんなお悩みを解消するため、この記事では、最も効果的な職場環境改善の具体的な方法についてご紹介します。
会社にとってストレスチェックを行う意義とは?
実は、ストレスチェックの主人公は個々の従業員です。そもそもストレスチェックを受けるかどうかは個々の従業員が自由に決めることができます。
ストレスチェックの結果を受けて、ストレスのケアを行うかどうかも従業員の自主性に任されています。高ストレス状態の従業員が医師の面接指導を受けるかどうかも任意です。
このような全く強制力を持たない検査を、義務として会社が行うなんて正直なところ変な制度ですね。ただ、そうでもしなければ、労働者の精神疾患の増加に歯止めがかからないという国の危機感も感じます。
国は、ストレスチェックを義務として行うことをきっかけに、心理的なストレスの少ない職場を実現するように、さらにいうと、精神疾患を生み出さない職場を実現するように、会社に対して促しているのは間違いありません。
決して少なくないコストをかけてストレスチェックを行うのですから、職場の心理的なストレスを減らすことで、生産性が向上し、離職率が低下し、休職者が減少したというかたちで、コストを回収しなければなりません。
すなわち、会社にとってストレスチェックを行う意義とは、ストレスチェックをきっかけにして職場環境を改善するということにほかなりません。
ストレスチェックの結果を受けて、ストレスのケアを行うかどうかも従業員の自主性に任されています。高ストレス状態の従業員が医師の面接指導を受けるかどうかも任意です。
このような全く強制力を持たない検査を、義務として会社が行うなんて正直なところ変な制度ですね。ただ、そうでもしなければ、労働者の精神疾患の増加に歯止めがかからないという国の危機感も感じます。
国は、ストレスチェックを義務として行うことをきっかけに、心理的なストレスの少ない職場を実現するように、さらにいうと、精神疾患を生み出さない職場を実現するように、会社に対して促しているのは間違いありません。
決して少なくないコストをかけてストレスチェックを行うのですから、職場の心理的なストレスを減らすことで、生産性が向上し、離職率が低下し、休職者が減少したというかたちで、コストを回収しなければなりません。
すなわち、会社にとってストレスチェックを行う意義とは、ストレスチェックをきっかけにして職場環境を改善するということにほかなりません。
【集団分析】ストレス度が数字で見えるけど万能なの?
厚生労働省は、職場環境改善のために集団分析を実施するよう求めています。厚生労働省が推奨する集団分析ツールである「仕事のストレス判定図」では、以下に示す、ストレスチェックの4項目に該当する回答を集計して、職場の健康リスクを算出しています。
① 仕事の量
② 裁量権
③ 上司の支援
④ 同僚の支援
すなわち、集団分析でいう健康リスクが高い職場とは、「裁量権がないのに仕事量が多くて、上司からも同僚からも支援が受けられない(と感じている従業員が多い)職場」ということになります。逆に言うと、集団分析ではこれしか分かりません。
集団分析では相対的に健康リスクが低かった、高かったという職場が分かるだけです。問題の本質や解決策が示されるわけではありません。
あくまでも、「裁量権がないのに仕事量が多く、誰も助けてくれないと感じる人が多い職場はここですよ」と、ぼんやりと浮かび上がってくる程度と考えて良いでしょう。
「集団分析さえ行えば我が社の問題点が明らかになる」と考えている経営層を時折見かけますが、それは大きな間違いです。集団分析というのは職場環境を改善するための単なるスタートラインに過ぎないということを、しっかりと認識しておいてください。
① 仕事の量
② 裁量権
③ 上司の支援
④ 同僚の支援
すなわち、集団分析でいう健康リスクが高い職場とは、「裁量権がないのに仕事量が多くて、上司からも同僚からも支援が受けられない(と感じている従業員が多い)職場」ということになります。逆に言うと、集団分析ではこれしか分かりません。
集団分析では相対的に健康リスクが低かった、高かったという職場が分かるだけです。問題の本質や解決策が示されるわけではありません。
あくまでも、「裁量権がないのに仕事量が多く、誰も助けてくれないと感じる人が多い職場はここですよ」と、ぼんやりと浮かび上がってくる程度と考えて良いでしょう。
「集団分析さえ行えば我が社の問題点が明らかになる」と考えている経営層を時折見かけますが、それは大きな間違いです。集団分析というのは職場環境を改善するための単なるスタートラインに過ぎないということを、しっかりと認識しておいてください。
国が紹介している職場環境の改善事例
では、厚生労働省の「ストレスチェック制度実施マニュアル」で紹介されている職場環境改善の事例を見てみましょう。
実際の事例では、「会議の目的や参加者の範囲を見直した」、「従業員参加型の職場環境改善検討会を開催した」、「道具置き場を整理した」などの、労働時間の適正化やチームの活性化、物理的レイアウトの改善や作業方法の見直しなどが紹介されています。
これらの取り組みで確かに無駄が減り働きやすくなることでしょう。しかし、このような取り組みで職場のメンタルヘルスが向上するとはとても思えません。
はっきり申し上げて、この程度の取り組みでは、職場のメンタルヘルスは置き去りもいいところです。
実際の事例では、「会議の目的や参加者の範囲を見直した」、「従業員参加型の職場環境改善検討会を開催した」、「道具置き場を整理した」などの、労働時間の適正化やチームの活性化、物理的レイアウトの改善や作業方法の見直しなどが紹介されています。
これらの取り組みで確かに無駄が減り働きやすくなることでしょう。しかし、このような取り組みで職場のメンタルヘルスが向上するとはとても思えません。
はっきり申し上げて、この程度の取り組みでは、職場のメンタルヘルスは置き去りもいいところです。
メンタルヘルスに最も悪い影響を与える職場環境とは
そもそもメンタルヘルスに悪い影響を与える職場環境とは何でしょうか。効果的な改善を行うには、ここから考えていく必要があります。
職場のストレスでうつ病、適応障害、不安障害などを発症した方の原因の多くが、上司との人間関係(不適切なマネジメントやハラスメントを含む)にあるという事実が、厚生労働省のマニュアルでは忘れられている、あるいは意図的に隠されているように思えてなりません。
米国を中心としたポジティブ心理学の流れをくむ職場研究によりますと、労働者のメンタルヘルスに最も悪い影響を与えるのは、「上司による仕事の妨害行為」であることが明らかになっています。上司こそが職場環境そのものということです。
職場のストレスでうつ病、適応障害、不安障害などを発症した方の原因の多くが、上司との人間関係(不適切なマネジメントやハラスメントを含む)にあるという事実が、厚生労働省のマニュアルでは忘れられている、あるいは意図的に隠されているように思えてなりません。
米国を中心としたポジティブ心理学の流れをくむ職場研究によりますと、労働者のメンタルヘルスに最も悪い影響を与えるのは、「上司による仕事の妨害行為」であることが明らかになっています。上司こそが職場環境そのものということです。
問題のある上司の改善なくして職場環境の改善なし!
先ほども述べた通り、集団分析の結果だけではその職場の問題の本質は見えてきません。
真っ先に確認すべきなのは、集団分析結果の総合健康リスクが高い職場(概ね120以上)の中でも、特に「上司の支援」の点数が低い職場です。
実態を把握するために、その職場の全員と面接を行うことをお勧めします。
面接する人はメンタルヘルスに精通した専門家が適任でしょう。改善の本気度を示すのであれば、人事部門の責任者が面接してもかまいません。その際、面接の秘密は絶対に守られると約束するのは言うまでもありません。
全員面接を通じて、その職場の上司のマネジメントをしっかりと確認してください。ストレスの原因は上司にあるという訴えが多いのであれば、その上司を職場環境の改善対象にすることになります。
そして、その上司本人に対して人事部門の責任者などから、「君のマネジメントには部下の心理的なストレスの観点から問題がある」と、はっきり伝えて改善を促してください。
具体的な方法は特に難しいことはありません。その上司に以下の4点をしっかりと守ってもらうだけです。
1. 部下から求められたら積極的に情報提供を行う
2. 部下の質問には仕事が前に進む助言を行い妨害行為は絶対に行わない
3. 仕事を前に進めるための部下の発言や相談を罰しない
4. 部下に対してダブルバインド*を絶対に行わない
*ダブルバインド(二重拘束)
二つの矛盾するメッセージを提示し、そのどちらを選択しても罰が与えられる状態のこと。例えば、「勝手に判断するな」と命令しておきながら「いちいち聞きに来るな」と叱責する組み合わせ、「自分で考えろ」と命令しておきながら「勝手なことをしやがって」と叱責する組み合わせ、「いちいち報告に来るな」と命令しておきながら「何で早く言わないんだよ」と叱責する組み合わせなど。破壊力は絶大で精神疾患や離職の原因になる。
もし、部下を次々にメンタル不調や退職に追い込んでいるような上司であって、改善が見られないのであれば、即刻交代させることも検討してほしいと私は思っています。
最低限、上司による妨害行為が改善されたのちに初めて、労働時間の適正化、チームの活性化、物理的レイアウトの改善、作業方法の見直しなどに取り組んでいただきたいと思います。
メンタルヘルスの立場から言うと、問題のある上司が改善されない職場環境改善などありえないのです。我々労働者は感情を持つ生身の人間であるという当たり前の事実を再認識してほしいと思います。
真っ先に確認すべきなのは、集団分析結果の総合健康リスクが高い職場(概ね120以上)の中でも、特に「上司の支援」の点数が低い職場です。
実態を把握するために、その職場の全員と面接を行うことをお勧めします。
面接する人はメンタルヘルスに精通した専門家が適任でしょう。改善の本気度を示すのであれば、人事部門の責任者が面接してもかまいません。その際、面接の秘密は絶対に守られると約束するのは言うまでもありません。
全員面接を通じて、その職場の上司のマネジメントをしっかりと確認してください。ストレスの原因は上司にあるという訴えが多いのであれば、その上司を職場環境の改善対象にすることになります。
そして、その上司本人に対して人事部門の責任者などから、「君のマネジメントには部下の心理的なストレスの観点から問題がある」と、はっきり伝えて改善を促してください。
具体的な方法は特に難しいことはありません。その上司に以下の4点をしっかりと守ってもらうだけです。
1. 部下から求められたら積極的に情報提供を行う
2. 部下の質問には仕事が前に進む助言を行い妨害行為は絶対に行わない
3. 仕事を前に進めるための部下の発言や相談を罰しない
4. 部下に対してダブルバインド*を絶対に行わない
*ダブルバインド(二重拘束)
二つの矛盾するメッセージを提示し、そのどちらを選択しても罰が与えられる状態のこと。例えば、「勝手に判断するな」と命令しておきながら「いちいち聞きに来るな」と叱責する組み合わせ、「自分で考えろ」と命令しておきながら「勝手なことをしやがって」と叱責する組み合わせ、「いちいち報告に来るな」と命令しておきながら「何で早く言わないんだよ」と叱責する組み合わせなど。破壊力は絶大で精神疾患や離職の原因になる。
もし、部下を次々にメンタル不調や退職に追い込んでいるような上司であって、改善が見られないのであれば、即刻交代させることも検討してほしいと私は思っています。
最低限、上司による妨害行為が改善されたのちに初めて、労働時間の適正化、チームの活性化、物理的レイアウトの改善、作業方法の見直しなどに取り組んでいただきたいと思います。
メンタルヘルスの立場から言うと、問題のある上司が改善されない職場環境改善などありえないのです。我々労働者は感情を持つ生身の人間であるという当たり前の事実を再認識してほしいと思います。
まとめ
メンタルヘルスの観点から先ず取り組むべきは、問題のある上司の言動の改善です。なぜなら上司こそが最大の職場環境なのですから。
私は、業務の妨害を行う上司の改善なしに職場環境改善はありえないと考えています。
部下のメンタルを壊すような上司がいなくなれば、その職場の環境は劇的に良くなること間違いなしです。
私は、業務の妨害を行う上司の改善なしに職場環境改善はありえないと考えています。
部下のメンタルを壊すような上司がいなくなれば、その職場の環境は劇的に良くなること間違いなしです。
投稿者プロフィール
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個人のお客様には、認知行動療法に基づくカウンセリングを対面およびオンラインで提供しています。全国からご利用可能です。
法人向けには、メンタルヘルス研修やストレスチェック、相談窓口の運営を含む包括的なサポートを行い、オンライン研修も対応。アンガーマネジメントやハラスメント研修も実施し、企業の健康的な職場環境づくりを支援します。
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